↑に引き続いてレビュー。DISK2の構成は以下の通り。
・メイキング「押井守の方舟」82分
長いので後述。
・会場風景
シアター内部の映像。白い照明の中の六将と汎のアップ映像。同じく青い照明の中の六将と汎の映像。幻想的な雰囲気である。
・デザイン
キャラクター、都市、館内、イメージイラスト、初期アイデア集で構成。特筆すべきは末弥純氏と加藤善久氏のイラスト。末弥氏担当の六将と汎イラストがは初期段階から完成まで収められ試行錯誤のプロセスがよくわかる。加藤氏のイラストは壁紙にしておきたい美しさ。
・コンセプトモデル
画像と字幕による汎と六将の詳細な説明。照明に工夫が凝らされていてちょっと変わった印象。
・クレジット
パビリオン及びDVD製作スタッフの名前がずらっ。みなさん、お疲れ様でした。
では「めざめの方舟メイキング『押井守の方舟』」について。
冒頭は「愛・地球博」TV特番でのヘルメット姿の押井氏(以下便宜上監督とする)。
続いて熱海でガブちゃんつれて散歩中の監督の映像。自宅で犬のお世話をする監督がとってもうれしそうでバトーみたい(笑)。玄関にはガブちゃんの像が鎮座。
この後は製作中のパビリオン内部映像と共に製作過程が紹介されている。監督とスタッフのコメントが交互に入っていた。以下、印象に残ったところを箇条書きでレビュー。コメントの主についてはできるだけお名前を挙げたが、お名前がわからない方については「スタッフ」と記述した(ごめんなさい^^;)。
・六将(りくしょう)について
会場に設営される六将、及び造形中の六将の映像。
スタッフ「犬の像だけ監督の指示が多い。」(笑)。
監督「人間が自然を家畜化したのが犬。魚は世界の循環性。鳥は困った。本当のメインテーマは空爆だったんだけどだめみたいなのでで行き着くとこまで飛んでみよと。馬は産業革命というか巨大技術のシンボル。ヤギは錬金術。で最後に人間。」
・汎について
監督「最初は巫女を考えた。お祭りだから依り代(よりしろ)が必要だと思った。」
粘土で造形中の汎の映像。監督の細かい指示が飛んでいる。
スタッフ「ところどころ「G.R.M.」の流れで作っている。」
・天井のキノコ
スタッフ「監督は犬、キノコ、立ち食いにこだわりがある。」
監督「キノコ、大好きなんです。」
確かに監督の立ち食い蕎麦へのこだわりは1993年の「dancyu」にてインタビューが掲載されたくらい有名だ(笑)。話はそれるがこのインタビューでは『立喰師列伝』の企画についても語られていた。グルメ雑誌に監督が出たのはこれが初めてかな?
・川井憲次氏の音楽
スタジオの映像。演奏するに川井氏及びミュージシャンたち。
ミキサールームで猫を抱いている監督。
監督「こんな平和なテープを作ったのは記憶に無いよ」(^^;。
・引き受けるにあたっての監督の考え
監督「久保Pが『なんでもいいみたいだよ』と言ったのと、林君ともう少し組みたかったから引き受けた。ポリゴンさん(CG担当プロダクション)と林君のコンビがかなりいけるなという考えがベースにあり、このラインをつなげたいと思ったので。」
注)ポリゴンは「イノセンス」のオープニングを制作したプロダクション。
・ポリゴン・ピクチャアズCGルーム。
監督「ポリゴンさんについては意外に多くチェックした。ポリゴンさんの林君に対する信頼は絶大なんで監督なんて行かないほうがいいと思ったんだけど。形を扱う人はどうしても監督に会いたがるんだよね。」
林「押井さんがいると素晴らしいアイデアを頂戴できるのもあるが、求心力という面で力を感じる。監督がいると現場のスタッフの温度がさっと変わる。」
・会場での音響及び照明のテスト映像。
本番に向けてのさまざまなテストが行われていた。
井上サウンドスーパーバイザーのコメント
「監督は自分が嫌いな色でも必要ならば躊躇なく使う。最初にお会いしたとき『本能と感性でやってくれ』といわれた。」
・押井監督の「監督論」
「自分のスタッフにどれだけ仕事させるか、のスタンスで演出するのが監督。
だからやりたいことをやらせる。つきあっていると『こいつはこういうことをやりたいんだな。』と匂ってくる。そういう人間じゃないと取る意味が無い。それにあわせて自分のイメージも逐次変更していく。監督にとって一番大事なのは客観性、二に距離感。」
・各スタッフによる押井監督の印象。
「(ある面で)天才」「動物好き」「変なオッサンでもなにか才能を持っているんじゃないかと思わせてくれる人」などなどいっぱい(笑)。
・押井監督の「仕事論」
「(スタッフ)全員がハッピーになるのがいい仕事の条件だ。そうあるはずなんだよ。それがあればどんなに世間にコテンパンされようが、全く売れなかろうが、クライアントに睨まれようが次の仕事は絶対に来る。これが私の経験則。」
最後は再び自宅近くをガブちゃんと散歩する監督の映像。お疲れ様でした。
DISK2についての感想など。
正直見ていて疲れた。メイキングが長い(^^;。でもこれを観てこそのパビリオン映像かな、という気もした。映像だけでも大変なのに造形物もあるわけで、関わったスタッフの方々の苦労は並大抵ではなかったと思う。もちろんこんな苦労はどこのパビリオンでも言えることではあるけれど・・・・。また上には書ききれなかったが、監督をはじめたくさんのスタッフの会話が聞いていて非常に面白かった。大阪万博の話に花が咲いたり、ところどころ「G.R.M.」の話題が出たり。
今だ凍結中の「G.R.M.」だが、監督がこのメイキングの中であるスタッフに対し、
「もし(凍結中の)『G.R.M.』がやれるのなら彼を迎え入れたい。」といっていたのが印象的。やはり諦めてない雰囲気である。『立喰師列伝』の次に実現すればいいのだけれど・・予算的に無理かな^^;。
以上、二つに分けてのレビューでした。
長い文章を最後まで読んでいただきありがとうございますm(__)m。
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