Chateau Latour 1986
極上のボルドー。
いい夫婦の日に思い切って開けました。
微かにオレンジがかった深い深いガーネット。
グラスを回すとたらりと脚は長く流れ落ちて。
カシスやブルーベリー、醤油、腐葉土やキノコの香り。
強い強いボディは29年の歳月に微塵の揺らぎもなく、しっかりとした酸と長く続く余韻。
王道の味です。
合わせたのは山形牛のステーキ。
時間経過すると少しジャムっぽくなりました。
翌日もへたらない強い味にびっくり。
1986年は父と永遠の別れをしたとても悲しい年でした。
けれど歳月が流れるに従ってその悲しみも少しずつ形を変えて心の片隅にきちんと収まっていったような気がします。
まるで瓶の底に溜まった澱のように。
この29年間いろんなことがありました。
死んだほうがマシと思ったことも喜びで胸がいっぱいになったことも今はもう思い出になりました。
生きていてこそワインも楽しみも味わえる。
そう思わせてくれた一本です。
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