「実相寺昭雄展 ウルトラマンからオペラ「魔笛」まで 」
ウルトラな天才の軌跡。
「ウルトラマン」シリーズで有名な監督、
実相寺昭雄展を川崎市民ミュージアムで観てきました。
昔一度行ったきりだけどさらにアクセスが悪く、
なんとかギリギリ滑り込み。
入り口ではジャミラがお出迎え。
本編を思い出して。・゜・(ノД`)・゜・。。
絵コンテや脚本やダビング資料などもありファンには垂涎。
大きく目を奪われたのは
「ウルトラマンの東京」と題された一連の水彩画たち。
それぞれ高度成長期の東京の風景と共に
ウルトラマンや怪獣たちが一頭ずつ描かれ
気の利いた一文がさらりと。
いつ描かれたものかはわかりませんが
保存状態も良く目を楽しませてくれます。
実相寺監督は元々TBSの社員でした。
その特異すぎる才能が受け入れられず飛び出してしまいます。
普通ならここで終わりそうなものですが、
同時にスピンアウトした制作者集団が
彼を長きに渡って支えることになりました。
その制作者集団の名は「テレビマンユニオン」、
良質のテレビ番組を今も提供し続けるこの会社は
彼の盟友となったのです。
外へ飛び出した監督は次々といろんな舞台で才能を発揮します。
溢れる才能に引き寄せられる人は多く
俳優寺田農さんからは熱いメッセージが会場に寄せられていました。
時折ウルトラシリーズに呼び戻されながらも
話題をさらった薬師丸ひろ子さんの化粧品CM、
近親相姦映画、横溝正史を思わせる旧家のドロドロ映画、
サドや三島由紀夫作品の映像化、
あの「帝都物語」果ては舞台「魔笛」まで
迸る才能を発揮しました。
会場にはそれぞれの映像や脚本にスチールやポスターが飾られてその足跡を辿れます。
でもある書家さんとの往復絵手紙には粋な絵心と洒落っ気が溢れてて、思わずにっこり。
美味しかったらしい「作品第一号ワイン」の絵には思わずニヤッとしちゃったけどw
意外な一面は鉄道好きぬいぐるみ好き。
キティちゃんにラスカル、ケロッピにピカチュウまで!
集めたコレクションがガラスケースで展示されてました。
好奇心の塊のような方だったのでしょうね。
遺作は「シルバー假面」、
スタッフへの厳しい指示は健在だったとのこと。
監督は数年前没するまで制作への情熱は尽きることなかったようです。
自室に残されたメモには「零号試写云々」と記されていました。
このメモの後半は今だ判読不明、
どなたか解いてみてください。
「人生はひまつぶし」
と仰っていたという監督。
溢れ続ける才能の持ち主には人間の寿命は短すぎたのかもしれません。
テレビの黎明期にウルトラな才能を発揮した監督、
その偉大さを改めて実感する大満足な展示会でした。
Comments