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Aug 10, 2010

後悔はしてないけれど

交通事故で亡くなった男性の臓器が家族承諾で脳死移植されました

今朝対象の臓器が全て摘出され
レシピエントへの移植手術も終ったそうです。
よかった、と思いつつも複雑な想いが胸をよぎります。
それはあの時の自分を思い出すから。

「・・・・・・・・・・このようなときに申し訳ありませんが、
もしご承諾いただけるのであれば
お父様の体の一部をご提供いただけないでしょうか。」

24年前、私は父の臨終の枕元で
主治医の先生にこう告げられました。

その1週間前、仕事中に事故に遭った父は手術の甲斐なく脳死状態に、
奇跡を信じて待ち続けたもののこの日の早朝に息を引き取りました。
突然の事故、脳挫傷に内臓破裂を始め全身がずたずた、
ただの物体と化した父の姿に現実を受け止めるのが精一杯だった。
そして覚悟してはいたものの臨終の事実に目の前が真っ暗、
その状態でこの言葉を掛けられたのです。

私と家族は首を横に振りました。
眼を覆うような状態の父の身体に
これ以上メスを入れてほしくなかったから。
父の魂はそこになくとも
遠い出張先で事故に遭った父を一刻も早く家につれて帰りたかった。

「申し訳ありません。もう(手術は)勘弁してください。」
絞り出すように言いました。
主治医の先生は「そうですか。わかりました。」とだけ仰い
私たちに深々と頭を下げられました。

父の死後長い時間が経って臓器移植法が施行されました。
そして臓器移植のニュースが流れるたび、私の心は揺れます。

あの時、ドナーを断ったことに悔いはありません。
正しい判断だと今も思っています。
娘として少しでもきれいな身体で父を送ってあげたかった。

だけど、

もしあの当時臓器移植法があったらどうしただろうか。
父に生前口頭で「万が一の時は病気に苦しむ人にあげてくれ。」と
言われていたら、私は首を縦に振っただろうか。
もしこれから夫が父と同じ運命を辿ったら、私はどうするんだろうか。

どんなに考えても答えは出てこない。

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