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Feb 09, 2010

第13回文化庁メディア芸術祭

国立新美術館にて14日まで開催中、公式サイトはこちら

文化庁主催の世界各国から選ばれたアート、アニメ、マンガ、エンターテイメントの祭典です。
受賞作品一覧はこちらへ。
寒さも一段落した月曜日の午前、早速行ってきました。

平日の午前というのに会場はかなり賑わっており、
春休みに入った大学生の姿が目立ちました。
同じ館内で開催中の『ルノワール展』の影響か
お年を召した方の姿も多かったです。

全体的な印象を先に述べると、アニメ部門はなかなかの粒ぞろいでした。
細田守の『サマーウォーズ』を初めとして
あったか人形アニメ『電信柱エレミの恋』
爺さんがくしゃみをするたびケーブルカーが分解していく手描き+CGの
『The Cable Car』などバラエティ豊かな面々でした。
ゲーム・マンガ部門は私的には興味をそそるものが無かった(^^;。
アート部門は以下の2つが目立っていました。

☆『Nemo Observatorium
巨大な透明シリンダーの中を発泡スチロールの極小粒が舞う装置です。
鑑賞者は中の椅子に座り”渦の中心で”瞑想に耽るか、外から眺める。
マスコミに取り上げられたこともありなかなかの人気で私も中に入りました。

自分でスイッチをON/OFFするのですが、
動作開始と共に白い粒が竜巻のように舞い上がり回り始めます。
うるさいかと思いきや意外に静か、段々耳が慣れてくると静かに感じます。
台風の目の中にいる感じで思考が集中してくる。
瞑想装置としてはなかなかの出来ですねー。
出来れば1時間くらい入っていたかったけど、
入室待ちの列があったので1分くらいで出てきちゃいました(^^;。


『ベアリング・グロッケン Ⅱ』(作品公式サイトへリンクします)
ベアリングメーカー日本精工(株)とアーティスト川瀬浩介さんとの
コラボレーション作品です。
工業製品の摩擦回避に使用されるベアリング(金属製の真球)と、
グロッケン(ドイツ語で鉄の意味らしい)製の鉄琴を組み合わせた音楽装置で
銀色の台の上に整然と並ぶ黒い鉄琴が美しい。
そして装置上部の4つの発射孔から出てくるベアリングが
美しい放物線を描きながら縦横3列に並んだ鉄琴へ落下、
放出するタイミングと順番で5つのメロディーを奏でます。
一見無骨な装置ですが、透き通る音は実に魅力的で
落ちていくベアリングの動きにも目が離せない。
曲が始まるたび取り囲んだ人たちから歓声が上がる人気ぶりでした。
上記リンクで動画を見られるので是非ご覧ください。
当日は川瀬さんが横にいらしたため
制作の苦労話などもちらりとうかがうことが出来ました。
連日の展示でお疲れなのにお話ありがとうございました>川瀬さん。


そして最後になりますが、会場奥の壁に私には絶対に見逃せない展示がありました。

特別功労賞 金田伊功(かねだ・よしのり)

昨年夏に急逝した不世出のアニメーター金田氏の業績が
手がけた作品リスト50枚近くの原画と愛用品と共に紹介されていました。
壁にはめ込まれたモニターには『魔女っ子メグちゃん』の映像。
破格のスペースと並べられた原画に
金田氏に捧ぐ審査委員会と芸術祭スタッフのリスペクトが感じられました。

一般にはほとんど知名度のない方ですが
今に続くアニメート技術の礎を築いた人物といっても過言ではないでしょう。
『銀河鉄道999』『幻魔大戦』
『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』を初めとする宮崎駿作品を担当し
現代アートの村上隆へも大きな影響を与えました。
TVアニメオープニングも手がけ『新サイボーグ009』(1979年)などが秀逸です。
#担当作品詳細は作画wikiへ。

金田氏のその特異なパースの取り方、アクション、爆発の描き方は
後の金田フォロワーと呼ばれる多くの優秀なアニメーターを生み出しました。
晩年はTVアニメから離れ『ファイナル・ファンタジー』を手がけています。
50代後半になり後進への指導が期待された中の急逝、
言葉もなくうなだれたのは私だけではないはずです。

壁に並んだ原画は『ファイナル・ファンタジー』が多く、
連続したアクション・シーンや爆発シーンがほとんどで、
細かに書き込まれたスタッフへの指示が読み取れます。
金田ファンにはたまらない。
ガラスケースに入った愛用品の横には
お遊びと思われる直筆のまぁるいキャラクター、
シンプルながらも動きのある線がどこか懐かしい。
CGへシフトしつつあるアニメ業界ですが、
人の手の力に及ぶCGはありません。
それを示し続けてくれた金田氏の偉業が改めて偲ばれます。
原画の下には著名人からの送る言葉が並べられ
その中には『銀河鉄道999』で机を並べた
ライバル友永和秀氏からのメッセージも。
本当に惜しい人材でした。改めて金田氏のご冥福をお祈りいたします。


文化庁メディア芸術祭の感想は以上です。
同じ会場内では学生CGコンテスト受賞作品展も開催されていて
こちらも楽しい作品が一杯です。
両方とも入場が無料なので、梅見のついでに行かれてはいかがでしょうか。

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Comments

 shamonさん、こんばんは。レポート、ありがとうございます!

>>手がけた作品リスト50枚近くの原画と愛用品と共に紹介されていました。

 原画! 生で観たことないのであの線を是非観てみたいです。

>>壁にはめ込まれたモニターには『魔女っ子メグちゃん』の映像。

 かなりフォローしてますが、実は『魔女っ子メグちゃん』は未見。金田作画のメグちゃん、やはりあんなポーズでしたか?

>>壁に並んだ原画は『ファイナル・ファンタジー』が多く、
>>連続したアクション・シーンや爆発シーンがほとんどで、

 これってCGのストーリーボードということでしょうか。それともセルアニメの原画ですか?

 なかなかマスコミの記事でかゆいところに手が届かないのですが、詳細レビュウに感謝です!

Posted by: BP | Feb 10, 2010 at 12:29 AM

まいどでーす^^。

並べられていたのはたぶんアニメの原画だと思います。
FFを観たことが無いので実際の画面とくらべられないのが残念でした^^;。

若い世代も立ち止まって原画を見上げていました。
金田さんの名前が下の世代にも浸透してくれれば、、と思いながらその光景を眺めていました。

Posted by: shamon(BPさんへ) | Feb 10, 2010 at 07:38 PM

最終日にすべりこみで見てきました。
私も人工吹雪の中で瞑想したかった・・・でもあれはどこかで常設してもいいくらいですね。
NTTインターコミュニケーションセンターあたりが置いてくれないかな。

金田さんのコーナー、私の時は旧ガイキングを流してました。
ひょっとしてBPさんの声が届いて、差し替えしたのかも?
あと、壁の展示(複製)はゲーム中のアクションについての指定書とか
OPや途中にインサートされるアニメ部分のレイアウト等でした。
金田さん最後の仕事となった、ハガレンFAのレイアウトもありましたね。

それにしても、スクエニも贅沢な人材の使い方をしたというか
宝の持ち腐れだったというべきか・・・なんか複雑な気分です。

Posted by: 青の零号 | Feb 15, 2010 at 10:17 PM

まいどでーす。TBありがとうございます^^。

人口吹雪はなかなか素敵な瞑想空間でしたよ。
これがマスコミに取り上げられたのが混雑の理由?

>常設してもいいくらいですね。
そうそう、また解体しちゃうなんて勿体無い。
東京都現代美術館あたりに置いて欲しいです。

金田さんのはレイアウトだったんですねー。
補足情報感謝です~。

>差し替えしたのかも?
かもしれませんねー。氷川さんあたりが言ったのかも。
私の時は延々メグでした^^;。悲しい(TT)。


>宝の持ち腐れだったというべきか・・・なんか複雑な気分です。
村上隆辺りがお金を出してスタジオを持たせてあげりゃよかったと思います。
でもあの人にノブレス・オブリージュを期待するだけ無駄か^^;。

Posted by: shamon(青の零号さんへ) | Feb 17, 2010 at 08:09 PM

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Tracked on Feb 15, 2010 at 09:45 PM

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