「サマーウォーズ」細田守
公式サイトはこちら。
傑作「時をかける少女」から3年、
細田作品がスクリーンに戻ってきました。
お話は
憧れの先輩・夏希からアルバイトを頼まれた高校生・小磯健二は
彼女と共に長野の陣内家本家を訪れる。
が、そのアルバイトの中身は「フィアンセの振りをして」、
断る健二だが夏希から懇願され押し切られてしまう。
個性的な面々の親戚たちに圧倒されつつフィアンセを装う健二だが、
その翌日携帯に届いた不思議な暗号を解読したことから
大変なトラブルに巻き込まれる。
そしてそれは世界を揺るがす大事件へと発展していく。
でした。
さて率直な感想ですが
面白かった、です(^^)。
「時かけ」ほどスピーディーな展開&満足度ではないけれど
所々でしっかり泣かせる演出はさすがでした。
バーチャル空間のバトルでは手に汗に握り、
現実世界では大切な誰かに涙する。
この2つが見事にブレンドされていい作品に仕上がっています。
真琴一人に焦点を当てた「時かけ」と違い、
こちらは総勢28人で織り成す群像劇、
メインキャラに各々きちんと役割を割り振る描写がお見事です。
そして核家族育ちの健二が田舎の大家族にカルチャーギャップを味わう辺り、
身につまされた人は多いのではないでしょうか(^^;。<私です、はい。
また”現実”にのみ対処する女性陣と
あくまで「○○合戦だっ!」といきまく男性陣の対比がなんだか滑稽というか
「うんうん、わかる。男って(中略)、女って(中略)こんなもんだわ。」と
心中頷いていました。
ヴィジュアル面では仮想空間OZに
現代アート作家のこの人とこの人が思い浮かびました。
細田作品はこの類の現代美術とは縁遠いイメージなので
OZのキッチュで安っぽい、でも時折出てくる変に細密なヴィジュアルは
非常に新鮮でした。アニメと現代アートのコラボとも言えるでしょう。
でも真琴のアバターが最後にどっかで見たような○○だったのは
押井守へのオマージュ?(笑)だったりして。
そして現実を見せる背景美術は多くのジブリアニメで腕を振るった武重氏、
OZの軽い?色合いとはうらはらに長野の美しい自然や陣内家の建物を描き
大家族の物語をしっかりと支えていました。
キャストは今回も俳優中心ですが、
主人公たちは現役10代の俳優さんたちが瑞々しく演じてて、
単なる客寄せではないキャスティングの妙を感じました。
物語のキーとなる陣内家当主・陣内栄役の富司純子さんは
和服姿の凛とした老婦人が実にはまっておられました。
「役者とは、一に口述、二に演技、三、四が無くて五に容姿。」
を見事体現した演技は、「トトロ」の北林さんに次ぐものです。
もしこのアニメが実写化されることがあれば、
栄役は富司さんに決まりでしょう(笑)。
親戚や家族は時にはトラブルの種になるけれど、
最後に頼って戻っていける場所でもある。
そんな優しい暖かな目線を感じられる作品でした。
Comments
shamonさん、こんばんは。
『サマーウォーズ』、楽しめましたよね。
僕はなんだか猥雑に、いろんなものがごちゃっと、しかし調和して混ざり合っているのが心地よかったです。
>>現代アート作家のこの人とこの人が思い浮かびました。
>>細田作品はこの類の現代美術とは縁遠いイメージなので
前者と細田監督とは、コラボ作品がありますね。
http://www.youtube.com/watch?v=yLVhunTJVgE
このイメージがOZに活きているのだと思います。このビデオもとてもいいですね。
「この人」の灰汁を、細田監督がソフィスティケートしているのが、よくわかります。
Posted by: BP | Sep 16, 2009 11:41 PM
まいどです^^。
この映画、公式サイトの乙一氏のコメントがそっけないようで褒めていて笑えました。
「ホッタラケ」で脚本家デビューの乙一氏ですが、
細田監督の作風と相性が良さそうなので(明るいようで暗い)是非コラボを期待したいところです。
>調和して混ざり合っているのが心地よかったです。
しかもそのブレンド具合が絶妙ですからね。
そして「世界を救う」のではなく」
「自分がやったことの始末をつける」
な展開が良かった。
大仰に構えるともう1つのテーマである絆がぼやけますから上手なさじ加減だったなという気がします。
>前者と細田監督とは、コラボ作品がありますね。
すいません、失念してました(爆)。
どうも
「清清しい」細田ワールドと
「○の匂いがぷんぷん」な「この人」ワールドが
私の中では今も結びつきません(苦笑)。
後者の画家さんは今後プッシュしたいんだけどなぁ(笑)。
Posted by: shamon(BPさんへ) | Sep 18, 2009 08:40 PM
ご無沙汰しております。遅ればせながらトラックバックありがとうございました。
サマーウォーズ、良かったですね。次回作も楽しみです。
確かにキャスト、どの人物も聞いていて不安がなかったですね。プロの声優さんとは違うけれど、そこに日常感が出ていて。
そして、このyoutubeのコラボ作品すごいですね!全然知らなかったです。OZのモチーフがほとんどそのままですね。良いものをありがとうございます。
Posted by: あひる | Sep 26, 2009 03:06 PM
こちらこそご無沙汰&TB&コメントありがとうございます。
いつも楽しく拝見してます^^。
泣き笑いを上手にミックスさせた良作でした。
今から次回作が楽しみです^^。
>そこに日常感が出ていて。
ですねー^^。
仲さんのオバチャン役もいかにも~でよかった。
>良いものをありがとうございます。
いえいえこれはBPさんのご紹介ですから^^。
Posted by: shamon(あひるさんへ) | Sep 27, 2009 09:38 PM