CS放送「河童のクゥと夏休み」原恵一監督
河童が連れてきたのは煌く切ないひと夏の思い出。
2007年、あの「電脳コイル」を抑えて
文化庁メディア芸術際アニメーション部門大賞に輝いた作品です。
原監督はこれが二度目の受賞、かの宮崎駿監督と並ぶ快挙です。
劇場で見損ねて結局CSで観るハメになりましたが
とてもいい作品でした。公式サイトはこちら(2009/8/15リンク追加)。
あらすじは
小学生の康一はある日川岸でへんな生き物が入った石を拾う。
家にもって帰るとなんとそれは河童の子供と判明、
泣き声からクゥと名づけた河童と康一は仲良くなり、
仲間に逢いたいと言うクゥをつれて遠野へ旅に出た。
しかし仲間は見つからず戻った康一とクゥを雑誌のカメラマンが激写する。
殺到するマスコミに辟易した康一一家はついにTV出演をOKするが、、、
というお話でした。
219分という尺がちょっと長すぎるのと
東京タワー上空でのシーンは強引過ぎない?と感じたものの、
淡々とした展開の中に現代社会の問題やそれへの風刺を
ふんだんに盛り込み単なるおとぎ話とはしていません。
礼儀正しいクゥに対しぶしつけに携帯カメラを向ける人間たちは
醜いことこの上ないし(身につまされます・・・)、
近所迷惑を顧みず康一の家に詰め掛けるマスコミには
「あんたら他にやること無いのかよっ!」と突っ込みまくってしまった。
クゥを巡る家族のいざこざもリアリティたっぷりで
妙に理想の家族を描かないあたり好感が持てました。
そして訪れる切ない別れ、不覚にも泣いてしまいました。
家族愛、友情、社会問題、を盛り込みながらも分裂しない脚本が素晴らしい。
すごいなぁと感じたのはクゥというキャラクターの描き方。
最初は「気持ち悪い」(ごめんなさい)と感じたものの、
時間を追う毎にかわいく愛らしく友達のように思えてくる。
ぱっと観、「?」なキャラを動きでかわいく見せて親近感を持ってもらう、
アニメーター出身者だからできる演出の妙でしょう。
原監督がずっと暖めてきた原作への愛情がこのクゥにいっぱい詰まっています。
大人が見ても子供が見ても親子で見ても
考えさせられそしてジーンと来るお話でした。
私もクゥに逢ってみたいよ~(笑)。
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