「落下の王国~The Fall」ターセム
作品公式サイトはこちら。
公式サイトの美しい映像に惹かれて観てきました。
ターセム監督作品は初めてです。
1910年代にある病院で出会った骨折した少女と男性俳優。
怪我をし恋も失った俳優は自殺用のモルヒネを入手するため
少女を利用しようと考える。
そして彼女の気を惹くため奇想天外な<物語>を語りだした・・・。
というストーリー。
以下、ややネタバレありの感想です。
第一印象は
思ったよりも穏やかで大人しい映画
でした。
これって監督の持ち味なのかな?
この一ヶ月リンチだクエイだと濃い~~映画をレンタルで観てたせいか
私には今ひとつ物足らなかった。
例えて言えばそーですね、
こてこてのイタリア赤の後に品良く作った甲州飲んでるみたい。
#なんちゅーたとえだ^^;。
たぶんリンチとクエイの毒がまだ残ってるんでしょう^^;。
静かな導入部はとてもいいのだけど、
中盤から(私の受けた印象では)の盛り上がりが弱く感じられました。
人物描写も自殺を考える男の感情と無邪気な少女との対比を
もっとねちっこく描いてもよかったのではと思う。
そうすれば後半での男性の改心がもっと生きるし
クライマックスで現実と<物語>が融合するシーンで
もっと説得力があったんじゃないかなー。
淡々とした描写も悪くないけどもっとぱーんと弾けて欲しかった。
でも映像的にはとても美しい映画でした。
<物語>のスタートは山の茶色、砂の白、空の青のコントラストが
息を呑むような美しさ。
世界各国の世界遺産もふんだんに盛り込んで
世界旅行している気分になります。
蝶からオーヴァーラップしていくある風景などは
「これってほんとに実在の景色?」と驚かされてしまう。
そしてこの美しい舞台に映えるのは石岡瑛子デザインの衣装、
優雅なデザインと美しい色彩が登場人物と物語を彩る。
ただ<物語>が進むにつれて出てきた
ブラザーズ・クエイ風○○○○
にはちょっとずっこけたけど(^^;。
やってること一緒ですがな、エンドロールを真剣に見ちゃったよ^^;。
「カリオストロの城」風のシーンもあって、
ターセム監督は宮崎駿ファンなんでしょうか(^^;。
「カリ城」に出てきたのと同じような○○もぞろぞろ出てくるし~。
役者陣では少女を演じるルーマニアのカティンカ・アンタルーが愛くるしかった~。
ちょっぴり泥臭いけど活発でかわいい女の子を上手に演じてます。
これがデビュー作品、大きく成長してほしいですね。
小粒の作品ですが、丹念に作った映像美は一見の価値があります。
現実と虚構が織り成すファンタジーがお好きな人にはオススメかな。
Comments
shamonさん、こんばんは。
『落下の王国』、もう上映はじまったんですね。東海地区は9/27とまだまだ先。ネタばれを恐る恐る読ませていただきました(^^;)。
>>こてこてのイタリア赤の後に品良く作った甲州飲んでるみたい。
スチールを観てて、「品良く作った」感じは凄くしますね。
そうかー、さっぱり味なんですね。ヒットするといいのに。
Posted by: BP | Sep 11, 2008 11:15 PM
まいどでーす^^。
東海は今月下旬からなんですねー。
今日の日経夕刊では星4つ(5つが満点でした)。
>「品良く作った」感じは凄くしますね。
少しレトロで品良くまとめています。
CGを使わずにオールロケなので
人物と背景の違和感もなく自然な映像ですよ。
カメラワークもシンプルでくどさがない。
余計なものがない引き算の美学に満ちた映画です。
>さっぱり味なんですね
現実と妄想がリンクしていく展開の原体験が
私はポーの「アッシャー家の崩壊」なんですよ^^;。
なのでこのパターンにはどこかで狂気を求めてしまう・・・。
この映画はその狂気がないので物足りなく感じたのでしょう。
だけど"きれいな物語"を求めてる人にはぴったり
じゃないかな。
Posted by: shamon(BPさんへ) | Sep 12, 2008 07:12 PM