DVD「ストレイト・ストーリー」デイヴィット・リンチ
奇才デイヴィット・リンチ、1999年の作品。
なんと静謐で心温まる映画でしょうか。
10年前絶縁した兄が病気で倒れたことを知った老主人公は
唯一自分が扱える時速8kmのトラクターで兄の元へと向かう。
その距離500km、
行く先々で出会うアクシデントと人々との交流、
家族への想いを散りばめながら
映画は静かなラストシーンを迎えます。
アンドリュー・ワイエスの絵画のような美しい映像、
老主人公の含蓄ある言葉、
出会う人々の暖かさとそれぞれに背負った人生の重み、
それらが一口毎に喉に染み入る極上のバーボンのような映画です。
これが私を悪夢に陥れてくれた^^;「マルホランド・ドライブ」と
同じ監督の作品とは。
リンチ監督、恐るべし
とはいえ、
ゆっくりとしたカメラワークと陰影を美しくつけた画面作りは
「ああ、なるほど」と思えるくらいこの監督の個性だし、
下り道でトラクターが暴走するシーンではカメラを地上に這わせることで
お得意?のハラハラドキドキ的な要素も加えている。
実話を基にした物語なので自分の色を極力抑えることにより
老主人公の行動を浮き上がらせたかったのでしょう。
作品に漂う暖かさは老若男女世代を問わず誰にでも向く映画だと思います。
遠く離れて暮らす家族をお持ちの方は是非ご覧になってください。
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