「青春のロシア・アヴァンギャルド シャガールからマレーヴッチ モスクワ近代美術館蔵」展
公式サイトはこちら。渋谷Bunkamuraにて開催中。
展示会の趣旨は(公式サイトより引用)
美術におけるロシア・アヴァンギャルドとは、モスクワを中心に1910年前後から一挙に加速し活況を呈する若い芸術家たちの活動をさします。そして1910年代半ばには芸術における前衛の中心は西欧からロシアに移り、最も大胆で革新的な試みはロシアの作家によって生み出されていくようになります。それはフランスのキュビスム(立体派)とイタリアの未来派をベースに展開し、立体未来派、さらにスプレマティズム という抽象化の究極へと邁進します。そして1919年からは、建築など他の造形芸術も取り込んだロシア構成主義として、芸術における革命を推進します。
です。
中核となるのはタイトルにもあるマレーヴィチ、シャガールで
シャガールは冒頭に3枚ありました。
その中でよかったのは「ヴァイオリン弾き」。
濃紺の夜空でヴァイオリンを奏でる奏者が大きく描かれていました。
有名なパステルカラーが身を潜めているのが新鮮でした。
この後はロシアの画家がずらずらっと並ぶのでが、
イチオシはアリスタルフ・レントゥーロフの作品たち。
キュビズム+鮮やかな色で人物や風景を描きキャンバスを彩っています。
「教会と赤い屋根のある風景」は赤を中心としたぱっと華やかな色で
クレムリンのような教会が描かれて人目を引きました。
これほど明るい色彩のキュビズムって珍しいんじゃないかな、
そして同じ赤で勝負しているのがボリス・アニフェリドの「シュラミの娘」
真っ赤な色彩に裸婦と動物達が集う大き目の絵ですが、
一点だけ緑の植物がありそれが赤を引き立てていました。
この後はグルジアの国民的画家ピロスマニが10点、
素朴な画風ゆえに当時は全く認めてもらえなかった画家ですが、
死後評価が高まり世界各国で高い評価を得ています。。
絵の雰囲気はいかにもロシアって感じなんですが(笑)、
ちょっぴりユーモラスで暖かな色彩は見ていて気分もリラックス、
中でもつぶらな瞳の「雌鹿」がかわいい。
国中を放浪しながら絵を描き続けた彼は
加藤登紀子さんの「百万本のバラ」の画家のモデルとなった人でもあります。
ピロスマニの後はマレーヴィチ、でもちょっと私の好みには合いませんでした。
シンプルで力強いのですが、ぴんと来る作品はなし。
残りの絵でよかったのは
ステンベルク「労働者」、シュハーエフ「ピクニック」の2つ。
前者は機械の中にいる労働者を描いたものですが青い輪郭が
なんとも美しい絵でした。後者はこれこそロシアのアンリ・ルソー?ってな
緑の描写が素晴らしい。ルソーはパンパンパンと緑を描きましたが、
こっちは細かな描写が光りました。
全体的にこじんまりした展示会でしたが、
新しく知った画家もあり悪くなかったと思います。
以上レビューでした^^。
Comments
はじめまして。takさんのブログ経由でやってきました。大阪のこの展覧会は7点の出品取り止めと新聞社も主催を降りたため大変な事になっていますが、展示の内容はすばらしいものでした。
Posted by: kazupon | Oct 11, 2008 at 09:39 PM
はじめまして。コメントありがとうございます。
>7点の出品取り止めと
このニュースには驚きました・・・。
美術館は信用第一なので無理ないのですが、
観る側にすれば「よい絵だな。」と感じればいいわけでなんだか複雑です。
正直憤りというよりは悲しい。
今連載中の日経の小説が丁度うずもれていた画家の真作と贋作の話になっていて、
いろいろ考えさせられます。
>展示の内容はすばらしいものでした。
ですよねー。
7点は仕方ないにしても
他の絵だって素晴らしいのだから
たくさんの方に見ていただきたいです。
Posted by: shamon(kazuponさんへ) | Oct 12, 2008 at 05:33 PM