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May 14, 2008

「廃墟チェルノブイリ Revelations of Chernobyl 」

石の棺桶の中で悪魔はまだ蠢いている。
Chernobyl_2

本屋で見かけて思わず手に取りました。
世界を震撼させた1986年4月26日のチェルノブイリ事故
覚えていらっしゃる方も多いでしょう。
この本は22年経ったチェルノブイリ原発の周辺とその内部を
世界で初めて撮影した写真集です。
手がけたのは写真、文ともに中筋純さん。

筆者は保護服をまといガイガーカウンターの数値におびえながら
原発内部を(許可された場所のみですが)撮影しています。
所内にちらばったものを手に取ろうとして通訳にさえぎられる場面は
背筋がゾーッっとします。
コンクリートで固められた事故現場には今も高濃度の放射能が残っており、
何人も立ち入れない場所になっています。
人が生み出した悪魔は22年経ってもまだ生き続けている。
たくさんの計器の写真が生々しい。

チェルノブイリ原発が存在する街プリピャチの様子も載っています。
当時高機能都市として開発が進んでいた街で
1986年のメーデーには遊園地が開園する予定がありました。
けれど開園5日前の事故が住民達の人生を変えてしまいます。
事故直後は事実隠蔽しようとしたソ連政府も隠し切れず
三日後に住民達は身の回りのものだけ持って脱出し二度と戻りませんでした。
誰にも乗ってもらえなかった汚れた観覧車が夕日の中に佇んでいる写真が
長い年月を何よりも物語っています。
それでも自然は確実に息づき動物達も出入りしている。
だけどそこでなるリンゴは毒リンゴと呼ばれ、
誰かの口に入ることはない事実があります。

筆者の中筋さんはこれまでにも多くの廃墟本を出されている方、
そのせいでしょうか死の街なのにどの写真もとても美しい。
最近多く出版されている廃墟本とは一線を画すこの写真集、
チェルノブイリの記録としても非常に価値があるでしょう。

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Comments

チェルノブイリとくれば思い出すのが『月の子』です。
「その星の名を“にがよもぎ”という。」でしたっけ?
あの作品のラストにはSFマインドを激しくゆさぶられました。

『月の子』とは異なる現実を歩んでしまった、愚かで悲しい我々の世界。
この本の紹介を読んでいて、あの時の悲しさを思い出しました。

Posted by: 青の零号 | May 20, 2008 at 11:06 PM

こちらにもありがとうございます。

>『月の子』です。
私もです。作品ではニガヨモギでしたが、
wikiによるとヨモギの一種とありますね。

この作品では最後の願いが奇跡を生むけれど
現実はそうはいかなかった・・・。
清水玲子さんもそんな無念をお持ちだったのでしょう。

数年前NHKのドキュメンタリーで今も放射能が残っていると知りました。
ロシア政府はその放射能を防ぐため労働者を破格の金額で雇いさらに防御壁を作りましたが、
あのときの労働者の健康は間違いなく破壊されているでしょうね。
確か防御服も何もなしで内部に入っていましたから。

>あの時の悲しさを思い出しました。
昨年の原発故障といい人間っていつになったら悟るのでしょうね。少しずつ進化していけばよいのですが・・・。

Posted by: shamon(青の零号さんへ) | May 20, 2008 at 11:13 PM

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