「人間椅子」江戸川乱歩ベストコレクション
推理小説の巨匠が角川ホラーコレクションで新たにお目見えです。
第一弾はこの「人間椅子」。
表題作を含め耽美で狂気に彩られた短編が
8編収録されています。
柔らかい線で描かれた田島昭宇さんのカバーイラストが素晴らしい。
江戸川乱歩、ファーストネームが奇妙なこのペンネームは
アメリカの文豪エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)を
もじってつけられました。
ポーの描く恐怖が吸い込まれそうな闇とすれば、
乱歩のそれはじわじわとにじりよる生暖かさ、
かな。ホラーのジャンルに入ってもその個性は微妙に違います。
乱歩は日本の探偵小説を大きく進歩させた功労者でもあり、
星新一、大藪晴彦両氏をその慧眼により見出しています。
才能を見抜く目もあった方でした。
さてこの文庫本の表題作になった「人間椅子」は
耽美で妖しい一方的なラブストーリーです。
古い大きな椅子が家にある人はこれにぞーっとするでしょうね。
恐怖の頂点からスコン!と来るラストがいかにも乱歩です。
「目羅博士の不思議な犯罪」は乱歩風「モルグ街の殺人」?
「断崖」「妻に失恋した男」「お勢登場」は欲が生み出す犯罪が描かれ、、
「二廃人」(廃は古い漢字です)は理由のわからない復讐劇。
「鏡地獄」「押絵と旅する男」はある物への偏執的な愛がぞっとするような結末を呼ぶ。
どのお話も乱歩濃度100%です。
少年探偵団シリーズ以外の乱歩作品を読んだことのない人には
入門にピッタリです。
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