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Nov 25, 2007

「ムンク展」

キャンバスに渦巻く黒く赤い愛と死と官能。

国立西洋美術館で開催中のノルウェーの画家ムンク展に行ってきました。
公式サイトはこちら
単なる回顧展とは違い彼が<生命のフリーズ>と名づけた作品と
講堂や劇場に飾られた作品が一堂に会する展示会です。

ムンクといえば誰もが「叫び」↓を頭に浮かべるでしょう(今回は展示なし)。
Sakebi_munch
あまりにインパクトがあるこの絵のために
彼のイメージは「気持ち悪い」「不可解」になりがちでした。
病弱だった彼にとって死は身近なものだったのかこの絵に限らず、
初期作品の赤はまるで血のように紅く黒は吸い込まれそうな不気味さです。
けれどこの展覧会では彼が実に多彩な表情を持つ画家であったことを
私たちに知らしめてくれます。

では以下気になった絵を。

・吸血鬼
Vampire_munch
女性が男性に覆いかぶさって首筋に唇を当てている。
吸血鬼といえば男性のイメージがありますが、
この作品ではその役割が逆になっています。
男性にまとわり着くような女性の赤い髪はまるで血の流れのよう。
同じモチーフと題名で黒を基調にした絵もありました。

・声/夏の夜
Voice_munch
光る川、命の煌きの柱、暗い林をバックに佇む女性は
当時ムンクが交際していた女性でしょう。
夜の青はどこかシャガールやゴッホの夜を描いた絵のようです。

・マドンナ
Madonna_much
このムンク展、一番の目当てはこの絵でした。
長い黒髪を漂わせ恍惚の表情をする美しい女性は(たぶん)聖母マリア。
左下は彼女の胎内で息づく胎児(たぶんキリスト)でしょう。
周囲の枠を泳ぐ生き物は精子、かな。
そして背景の暗闇=死、女性と胎児=生、なのでしょう。
このモチーフと題名は同じものがいくつかありますが、
どれもどこかクリムトを思わせる美しいマドンナが描かれています。

・病める子供

ベッドから半身を起こしている少女と横でうつむく母親の絵。
少女は早世したムンクの姉でしょう。
鋭い線で描かれたこのどこか痛々しい絵は家族を失う悲しみに
満ちています。これも同じ題名、モチーフで他にもありました。

・公園で愛を交わす男女
ある医師に頼まれて室内用に描いた絵だそうですが、
「子供部屋にはふさわしくない」と医師につき返されて
彼の手に戻り後に一部書き加えられて世に出ました。
広い公園で幸せそうに時を過ごすカップルが数組
描かれています。明るい色彩はどこか印象派の画家の作品みたい。

・星月夜Ⅰ
一瞬ゴッホかと・・・^^;。いやほんとこれそっくりです。
ムンクもゴッホも精神を病み苦しんだ者同士、
絵が似るとは意外な共通点です。

・人間の山
パステルタッチで描かれた人間の山の上で光り輝くもの。
「一将功成りて万骨枯る」の言葉が頭に浮かびます。

この他にはスケッチなどもあって彼の製作過程が垣間見えました。
後世のシャープな線はどこか痛々しく感じるものの、
色彩は柔らかくなっていました。
彼の中で何かが変っていったのでしょう。

グッズは「声/夏の夜」と「マドンナ」の絵葉書を買いました。
「マドンナ」は別のバージョンがあるのでこれで2枚揃ったことになります^^。

混雑具合ですが、三連休の最終日開館30分前に着いたにも関わらず
閑散としていました(^^;。開館直後も人がぽつぽつ出拍子抜け、
10時以降はそれなりに人が途切れず入場していたけど
新美の「フェルメール展」の混み具合とは随分な違いです。
それもこれも一般的なイメージが「・・・」だからでしょうね^^;。
でもそんな気持ちの悪い絵ばっかりじゃないし(^^;、
一人の画家の変遷がよくわかる内容になっています。
ムンクに少しでも興味がある方にはお勧めします。

「ムンクついでに西美の常設展を」という方、
2009年3月まで新館の改修工事なので展示が見られません。
本館と前庭の彫刻のみが鑑賞可能です。
お気を付けください。

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Comments

こんばんわ、ムンク展行かれましたか。
「不安」以外はパンチ不足ではないかと、それこそ「不安」なところも
ありましたが、「吸血鬼」や「声/夏の夜」は見ごたえがありそう。
赤い夜と青い夜の対比も、なかなか興味深いところです。
「マドンナ」からは「ベルギー王立美術館展」で見たデルヴィル作
「情念の輪」を連想させられました。
これはやっぱり、実物を見に行かなくちゃだめかなぁ。

>2009年3月まで新館の改修工事
うわ、それは知りませんでした。
1年以上も常設展が見られないのはつらいです。
西美に行く楽しみの一つが減ってしまった…。

Posted by: 青の零号 | Nov 26, 2007 at 09:10 PM

私も行きたいです~ムンク展。
「女の髪に包まれた男の頭」ってありました?実物があるといいなぁ。
そっか、そんなに混んでないのですね。しめしめ♪

Posted by: Manbou | Nov 26, 2007 at 10:50 PM

こんばんは~、コメントありがとうございます。

>「吸血鬼」や「声/夏の夜」は見ごたえがありそう。
「吸血鬼」は一番最初の展示なのでドン引きしないでください・・・。
私は見た瞬間頭の中で「Blood The Last Vampire」が浮かびましたわ(^^;>「吸血鬼」。

「声/夏の夜」はどこか誌的で良いです^^。
ちょっとデルヴォーっぽいですしね。

>実物を見に行かなくちゃだめかなぁ。
「マドンナ」は2種類あるので是非両方ともご覧になってください。

>1年以上も常設展が見られないのはつらいです。
ロダンも常設展入口のものだけです。
観終わった後ものすごーく物足りないですよ^^;。

Posted by: shamon(青の零号さんへ) | Nov 27, 2007 at 01:10 AM

こんばんは~、コメントありがとうございます。

>「女の髪に包まれた男の頭」
あ、これは今回ないです。
でもリンデ邸のために描かれた絵などは色彩も美しくなかなか素敵ですよ。

>そんなに混んでないのですね。しめしめ♪
同じ上野の「フィラデルフィア」のが人気あるみたいです。ご家族連れには「大ロボット展」。
土日なら10時までに入ればたぶん大丈夫です。
あ、でも念のために入場券は前もって準備してくださいね。

Posted by: shamon(Manbouさんへ) | Nov 27, 2007 at 01:15 AM

こんばんは。

今年企画力最も発揮したのは
西洋美術館のように思えます。
この展覧会もそうですし、
なによりもパルマ展が凄かったです。

Posted by: Tak | Nov 28, 2007 at 11:39 PM

こんばんは。コメント&TBありがとうございます。

ほんとにいい企画でした。ムンクに対するイメージが変わった方は多いでしょうね。

>パルマ展が凄かったです。
同感!スケドーニが素晴らしかったです!

Posted by: shamon(Takさんへ) | Nov 29, 2007 at 09:45 PM

久し振りに常設展が観たいのでついでに(^^;ムンクのお勉強もと思っていたのですが、2009年3月まで新館の改修工事って、ここで初めて知りました。あんまりにも長すぎる・・・(吃驚して絶句)。

Posted by: yk2 | Nov 29, 2007 at 11:39 PM

こんばんは~、コメントありがとうございます。

>新館の改修工事って、ここで初めて知りました。
私も行く前に公式HPで知りました。
わかっていても見られないのは・・・です^^;。

とはいえムンクだけでも満足できると思います。
是非行ってみてくださいね。

Posted by: shamonn(yk2さんへ) | Nov 30, 2007 at 09:17 PM

shamonさん、こんにちは^^
お返事が遅れてすみませんでしたm(__)m

このムンク展でそれまで持っていたムンクのイメージが180度変わってしまうほど、僕の中のカルチャーショックでした。 “心の叫び”、少しだけ聞こえた気がします。 もっと早く行ってたら、もう一度見れたのに。 それが残念です(汗)

Posted by: cyaz | Jan 01, 2008 at 09:30 AM

こっちでも新年おめでとうございます^^。

>ムンクのイメージが180度変わってしまうほど、

今回見に行った人のほとんどがそうではないでしょうか。フリーズの一連作品、もう一度来て欲しいですね。

今年もアートとサブカルとワインは頑張ります。BEERもちょっと入れてみようかな(笑)?

Posted by: shamon(cyazさんへ) | Jan 01, 2008 at 12:55 PM

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