「闇の守り人」上橋菜穂子
「心の傷は見つめなければ癒せない。」
そう思いカンバルへ戻ったバルサを待っていたのは
残酷な現実と大きな闘い。
上橋菜穂子さんの「闇の守り人」(以下「闇」)を先日読み終えました。
来月からアニメ(プロダクションIG制作。神山健治監督)が放送される「精霊の守り人」(以下、「精霊」)の続編ですが、とても対照的な大人向けの作品に仕上がっています。
「精霊」が”陽”で”母と息子の物語”なら、
「闇」は”陰”で”父と娘の物語”。
続編というよりも「一対」の物語といったほうがいいかもしれません。
物語はチャグムと別れたバルサが自らの祖国カンバルへ戻ることから始まります。
20数年前ジグロと共に命からがら逃げてきた洞窟を幼い頃を思い出しながら入っていったバルサはある兄妹と出会います。
そこから始まる不思議な人の縁が、カンバルの浮沈がかかった恐ろしい陰謀にバルサを巻き込んでいく。
クライマックス、山の王の宮殿で繰り広げられる哀しみと怒りが渦巻く”闘い”、
そして”永遠の別れ”。
この二つに目頭が熱くなりました。
シリーズの特徴である豊穣な世界観は「精霊」からしっかり受け継がれています。
カンバルの各部族たちのきめ細かな描写は素晴らしく眼にうかぶよう。これはたぶん著者の上橋さんのフィールドワークの経験からくるのでしょうね。
勿論魅力溢れる脇役達もたくさん出てきます。そして姿こそ出てこないもののバルサに寄り添うタンダとチャグムの面影にはちょっとしんみり。
しかし「精霊」と違うのは、今回ろくでもない人物(悪役)が出てくること。
口が達者で恐ろしくずるがしこいこの人物は、「攻殻S.A.C.」ファンなら、
「こいつって(2ndGIGの)ゴーダみたい。」
と絶対に思うはず(苦笑)。
読んでる側の腸が煮えくり返りそうな人物ですが、
こいつに叩きつけるバルサの啖呵がこれまたかっこいい。
とりあえずこのシーンだけでいいからアニメ化してくださいな(笑)>神山監督。
と好き勝手に書いてきましたが、
「精霊」の原作が気に入った方には是非読んでいただきたいなって思います^^。
当ブログ関連記事
☆NHKにんげんドキュメント「対話がアニメを作り出す~監督 神山健治~」
☆「精霊の守り人」上橋菜穂子
公式サイト
★精霊の守り人アニメ公式サイト
★出版元の「守り人シリーズ」公式サイト(ネタバレ注意です)
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Comments
お邪魔しまーす。
実は、「徹底研究」の公開収録に間に合うよう突貫工事的に「精霊」を読んだだけで「闇」~以下、シリーズ作品を読んでません。
児童文学な「精霊」だったので、まいっか、てな感じでしたがなんだか面白そうですね。
しかもゴーダが登場だなんて!!(笑)
とはいえ、読んでてストレスがたまりそうな本かなぁ。イライラしながら読むのはあまり好きじゃないのよね。
ソフトタイプも発売されているし、いずれ・・かなぁ。
Posted by: たいむ | Mar 07, 2007 05:14 PM
いらっしゃいまし~(^0^)。コメント感謝です。
>以下、シリーズ作品を読んでません。
んじゃ、これからってことですね(ニヤリ)。
「闇の守り人」、話としては重いけれどちゃんと緩急つけてあって面白く読めますよ。イライラしないから大丈夫。新装版で試してくださいな。
>しかもゴーダが登場だなんて!!(笑)
「巧言令色、少なし仁」な”見た目英雄”、けれど中身は・・・な人物です。
Posted by: shamon(たいむさんへ) | Mar 07, 2007 08:06 PM