「ゴサインタン」篠田節子(ネタバレです)
絶望と希望はもしかして紙一重なのかな。
読み終わった後そんな気持ちにさせてくれた、
一人の男の転落と再生の物語。あらすじは
地方の旧家の跡取り息子結木(ゆぎ)輝和は結婚難にあえいでいた。
その結果国際結婚の業者に紹介されたネパール人のカルバナ・タミを娶る。
しかしカルバナは慣れない環境からか奇怪な行動を始め、
そのため結木家は凋落していく。
そして全てを失った後突然カルバナは輝和の前から姿を消す。
輝和は彼女を探して、その故郷ネパールへ、神の山ゴサインタンへ向かう。
です。
長編だけどその長さを全く感じませんでした。
近郊農家が抱える問題と現代の家族問題を取り混ぜながら
一気に結末へと導いてくれます。
読みながらつい苦笑してしまったのが、
主人公輝和の愚かさと幼稚さ。
妻を「親孝行の道具」にしか扱わず、平気で浮気をし暴力を振るう。
気遣うのは母親のことばかり。
「そんなにママが大切なら、ママと結婚しろっ!他の女を不幸にするなっ!」
と言ってやりたくなりました、ええ(苦笑)。
残念ながらこういう男性は決して珍しくないんですけどね。
そしてこのタイプの男性が事の重大性に気づくのは、
「完全に手遅れ」になってから。輝和もそうでした。
この小説、これでもかっ!と主人公を転落させながらも、
きっちり最後に「救い=再生」を用意しているのは
原作者である篠田さんの優しさ、なのでしょう。
でも私には、
「どーしよーもーない主人公だなぁ。」
という印象が最後までぬぐいきれませんでした。
なぜなら、妻に去られた後の輝和は
”母親を追い求める幼い子供”
にしか見えなかったから。
主人公を堕ちるところまで堕としたのなら、
”再生”だけでなく”スキルアップ”させてほしかった。
輝和の器ではあれが限界だったのかもしれないけれど。
と少々不満な部分はあるものの、読了後は爽やかな気分になれました。
初めて篠田作品に挑戦する人にはちょうど良い作品かも。
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Comments
shamonさん、こんちは。
『ゴサインタン』はたしか未読なのですが、あらすじ読ませてもらうと、どっか『聖域』に似てますね。
『聖域』には押井守『天使のたまご』に関する記述が出てきて、篠田節子も押井ファンなのかな、と思った記憶。
Posted by: BP | Jun 10, 2006 01:27 PM
shamonさん、こんにちは。今回は長過ぎるコメントでスミマセン
昨夜は町内の若いあんちゃ(23歳)と、僕の知り合いの女のコがバイトする若者(特に21~27歳位の女性が多い)客が多いと評判(?)のFOOD&BAR(recline bar COZYという店名)みたいなとこに行って参りました。
若くて綺麗なお姉チャンも沢山いて、田舎でも探せば結構いるもんだ、と感心しました。
>地方の旧家の跡取り息子…は結婚難にあえいでいた
うーむ、この地域の農家の跡取り息子に40歳過ぎても独身の人が多いなぁ。
>国際結婚の業者に紹介された
業者(ブローカー?)確かにいますね。この地域は中国系の斡旋が多いかも。しかも「バツ1+中国に子供あり」の女性とか紹介するんですよね(-_-;)
>近郊農家が抱える問題と現代の家族問題
「農業問題」はこれからの日本にとって重要かつ既にヤバい状況かも。食料自給率の低下がもたらす災厄を国民が把握してないし、農業就業者平均年齢(及び漁業・林業も)が益々UPしていることは、「これからがない」ともいえる事態で、非常に憂うべきことだと思います。(農水省って助成金バラ撒いて、統計取るだけの組織なの?)
昔みたいに、JAがトラクターや農薬・肥料と一緒に「嫁まで」世話してくれる組織ではなくなったのも原因なのでしょうけど。JAと癒着してきた自民党政権や農水省、地方自治体にも責任はあります(けど、誰も責任を取らないのがこの国の不思議さ)。
農産物輸入が年々増え、自給率が下がり、国内農産物の市場価値が相対的に下がり、農村における地域社会の崩壊…いずれにしても国民全体が、自分達の口に入るものが「どこでどのように」作られたかを把握しようというところから始めなければ無理?
因みに大手外食チェーンで使われる「たまねぎ・ネギ・キャベツ・トマト・かぼちゃ・ブロッコリー・ゴボウ・ニンジン・生姜・にんにく・ピーマン・椎茸・里芋・アスパラガス・えんどう…」などの野菜が諸外国から(つまり他の国の人間が何食おうと知ったこっちゃない人が作る野菜を)輸入されており、大規模農業の宿命として大量の農薬・除草剤が使われているという事実を知っている人は少ないでしょうね、というかお店入ってもそんな「当店ではリーズナブルな外国野菜を積極的に活用しております!」なんて掲示するわけないし。もちろん、和民みたいに自社農園を作り、真面目に取り組んでいる企業もあるので、一概にはいえませんけど…農家の嫁娶りも含め、農業に関する問題はホント難しいですね(-_-;)
Posted by: SAC | Jun 10, 2006 04:47 PM
BPさん、こんばんは^^。
「ダ・ヴィンチ」特集おもしろいので見てくださいね~。
>『聖域』には押井守『天使のたまご』に関する記述
げげっ、それはすごい(@@;。
どちらも未読で未見です。
まず「聖域」から読んでみましょう。
「天使のたまご」といえば天野さん。
都区内某所にある天野さんのアトリエはなんとも摩訶不思議な雰囲気が漂ってました(外から中が見えるのです)。
Posted by: shamon(BPさんへ) | Jun 10, 2006 09:10 PM
SACさん、こんばんは^^。
中国の爆発的な人口増加と経済成長に伴って、
農業関係の記事をよく日経で見かけます。
中国の農家が日本に出荷しているもののもいずれは国内向けとなり、日本へどれだけ回してくれるか相当怪しいのは確かですね^^;。
社会主義国じゃないけど、国が国営農場でも作んなきゃ将来はかなり危ういのでは・・と思います。
農家の嫁不足は・・当事者達が意識改革するしかないですね。
私も地方に一時期住んでいたことがあるので、
「嫁が来ない」という農家の方々の嘆きの言葉を聞いたことがあります。
しかしよく聞くとそのほとんどの方が、
「自分たちにとって便利な道具」
を求めているに過ぎないんですよね。
そして
「自分の娘は農家に嫁がせたくない。」
とのたまう。
これではだめでしょう(^^;。
私の友人(海外生活が長い男性)が言っていました。
「日本の女性はかわいそうだ。
日本の男は女性を”役割”でしか見ない。
夫が妻を一人の人間として扱い向き合わないで どうするの。」
と。
農家に限らず、男性諸氏には是非頭に入れておいていただきたい言葉です^^;。
Posted by: shamon(SACさんへ) | Jun 10, 2006 09:39 PM