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Apr 15, 2006

「藤田嗣治展」

Fujita
国立近代美術館で開催中。公式サイトはこちら

非常によかったです(^^)。んではレビュー。
内容は3つの章で構成されており、それぞれがまた2~3に分かれていました。

Ⅰ章 エコール・ド・パリ時代

Ⅰ-1パリとの出会い

学生時代の自画像、そしてピカソ、モディリアーニから強く影響を受けた絵が並んでいました。
モディリアーニ風の絵について以下。

「花を持つ少女」「二人の女」
どっちもほっそりとした女性のラインがモディリアーニ風。

「生誕於巴里」
モディリアーニタッチでキリストの生誕を描いたもの。
聖母マリアの肌に彼の代名詞となる「乳白色」の兆しが見られます。
晩年藤田が見せる細かなタッチの片鱗も。


Ⅰ-2裸婦の世界
この展示会の前半の見所。
自画像などもありますがずらっと並んだ乳白色の美女達が圧巻!
てなわけでちょっと気合を入れて以下。

「五人の裸婦」
ちょっとオリエンタルな柄のカーテンと金色がかったカーテン。
それをバックにMの字を描くように佇む5人の美女。
ベッドの片隅の猫が画面を引き締めてます。輝く乳白色に目がくらみそう。
文句なしにきれい~(^0^)。

「タピスリーの裸婦」
花柄のタピスリーの前に座る裸婦。黒髪が乳白色の肌のコントラストがきれい。
そしてここにも美女の隣に猫が。藤田に言わせると猫と女は一緒だそうで^^;。

「横たわる裸婦」
仰向けにちょっと上を向いたポーズの裸婦。肌に反射する光の描写がとっても細かい。

「エレーヌ・フランクの肖像」「アンナ・ド・ノアイユの肖像」
どちらも美女の肖像。
前者はベッドに腰掛けた姿。
背景に飾られた風景画と絵皿、モデルのドレスの柄にベッドカバー。
どれも細かい描写。ドレスのグリーンが美しい。
後者は真っ白なキャンバスに立ち姿で。ちょっとアラビア風の衣装が素敵。
何もない背景がモデルの美しさを引き立てている絵。

「室内、妻と私」「アトリエの自画像」
両方とも自画像。
前者は部屋の中の自分達夫婦を描いている。
質素な樹のテーブルの上には絵の道具。急須のすすけた感じがいい。
後者は座机に座った藤田の自画像。
机の上にはすずりと筆。そして彼に寄り添う猫。
座机の木目や上に置いたランプの細かな描写に目が行きます。
アクセントは彼が座っている座布団の山吹色。

そしてなんといってもここでは
「ライオンのいる構図」
が一番。
この展示会最大の目玉。その大きさにちょっとびっくり。
修復されたとあって色も大変奇麗で繊細な線がはっきりわかります。
乳白色の美女、シャンパンゴールドの男達。ちらっと見える猫に檻の中のライオン。
藤田が夢見て描いた天国がここにあります。
今回はこれだけですが、是非とも対になっている「犬のいる構図」と並べて観たい逸品です。
 

Ⅱ章 日本へ

Ⅱ-1色彩の開花

先日観た「ナスカ展」を思い出す色彩がずらっ。
どこの国からも貪欲にその影響を吸収しようとしていたことがわかります。
ここでは乳白色は影を潜めて出てきません。

「室内の女、二人」「リオの人々」
前者の床の色がなんともナスカ的(^^;。
後者は子供の服の柄、女が身につけたショールの描写が細かい。

「狐を売る男」
描かれているのは南米の男性なのに非常に日本的な色彩の絵。
かすれたような墨?の黒と狐の描写がまるで浮世絵。

Ⅱ-2日本回帰

色よりも線が強調されている絵が多い。

「我が個室」「私の画室」
藤田のプライベート空間の絵。
両方とも細かく描かれた天井や床の木目、効果的に使われた黒が印象に残る。
どちらもアクセントは朱色に近い赤。

「自画像」
和室でくつろぐ自画像。全体的に色をしっかり塗りこんだ絵。自画像としては珍しい?

「猫」
キャンバス一杯に描かれた躍動感溢れる猫たち。猫好きにはたまりません(^^)。

「Y夫人の肖像」
まるで襖絵のようなバックに洋装の美女。寄り添うのは表情豊かな4匹の猫。

Ⅱ-3戦時下で
従軍画家として描いた大作が数点。どれも戦場の兵士の姿を描いている。
これらの作品はやがて藤田が祖国と決別する原因となった。
ここでは特に気に入った作品はなし。
 

Ⅲ章 再びフランスへ

Ⅲ-1夢と日常

エコール・ド・パリ時代と世界を放浪した経験がミックスされた時代。

「私の夢」
動物達に囲まれて眠る乳白色の美女。背景の黒と乳白色のコントラストが目を引く。

「動物宴」「ラ・フォンテーヌ頌」
ラ・フォンテーヌ寓話の挿絵、になるのかな。ユーモラスな動物たちが楽しい。

「カフェにて」
この展示会のポスターになった絵。カフェにいる黒い服を着た美女。
当時の服装や雰囲気がよくわかります。

Ⅲ-2神への祈り
晩年、カトリックへ改宗した藤田。その心の傾きを表したような絵画群。

「キリスト降誕」「キリスト降架」
どちらも髪の一本一本、床や柱の木目に至るまで細かい描写がされている。
茶色を基調とした絵の中でアクセントに使われている乳白色が美しい。

展示の最後に絵ではないけれどランスの「フジタ礼拝堂の写真パネル」がありました。
写真とはいえ内部のステンドグラスやフレスコ画がいかにすばらしいかがよくわかります。
でも描かれている聖母マリアの指がなぜか6本なのが謎。
小さいけれど美しい佇まいのフジタ礼拝堂。
ここはきっと彼が激動の人生の中でようやく見つけたた安息の場所、だったんでしょうね。

今回のお土産はトップに乗せた図録(2300円)とクリアファイルと絵葉書。
Cc
クリアファイルは「座る女性と猫」(左)「猫」(右)。
絵葉書は
「五人の裸婦」(左端上)
「私の夢」(左端下)
「エレーヌ・フランクの肖像」(中央上)
「座る女性と猫」(右端)
「猫」(中央下)
図録は上記3章別にフジタの細かな年表が載っています。
作品と共に彼の足跡を追っていけて便利。絵葉書はセット販売もしてました。

金曜日の朝一番に行ったのに、開場10分前で既に50人ほどの行列。
土日祝日は大変混むでしょう。
行かれる方は入場券を前もって買い朝一番に会場到着がベストかと思います。

生誕120周年記念ということで大変豪華な展示会だった気がします。
国立西洋美術館の常設で初めて藤田の絵を見てから10年。
彼の軌跡をじっくり追いたいという念願が叶いとても満足^^。

以上レビューでした^^。
長文を読んでいただき、ありがとうございましたm(__)m。

=====2007/5/12追記=====
☆当ブログ関連記事
「美の巨人たち」藤田嗣治特集(2006/4/8)

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Comments

いつもレビューを興味深く拝見しています。やはりフジタの戦時中の作品は必見だなあと、改めて思いました。

Posted by: Rintaro | Apr 15, 2006 09:47 PM

おはようございます。

>戦時中の作品は必見だなあと
どれもこれも戦争の悲惨さを描いています。
京都でしっかり見てくださいね。

Posted by: shamon | Apr 16, 2006 09:45 AM

藤田の戦時下の作品は、重くて、私も好きではないのです。が、あの時代にそれを描くのは、或る意味、画家として必然だったのでしょう。敗戦後の日本は、極端な平和主義に走ったために、彼にも戦争責任を問うたが、それはやはり行き過ぎだったと思います。

Posted by: リラックマ | Apr 16, 2006 11:50 AM

こんにちは。
大規模な回顧展は、とても充実していました。
私のとっては、藤田を初めてまとめてみて、その才能に魅せられてしまいました。
機会をつくって、再訪したいと思ってます。

Posted by: 自由なランナー | Apr 17, 2006 07:53 AM

こんばんは~。

>リラックマさん
勝てば官軍だけど、負ければ戦犯探しはいつの世も戦後処理にある構図ですね。
戦争体験者を父に持つ私にはちょっと辛い絵でした。

>自由なランナーさん
ようこそ!コメント感謝です。
展示内容も時期によって入れ替わるのでできれば私ももう一度生きたいです。

Posted by: shamon(リラックマさん&自由なランナーさんへ) | Apr 17, 2006 08:08 PM

こんばんは。
まさかこんな大規模な回顧展を
観ることができるとは夢にも
思っていませんでした。

混雑していましたが大満足。
時間を延長するそうです。明日から。

Posted by: Tak | Apr 19, 2006 10:48 PM

Takさん、こんばんは~。レビュー拝見しました。
ものすごい混雑だったみたいですね。お疲れ様です。
私ももう一度観たいですが・・・難しいかな^^;。

Posted by: shamon | Apr 20, 2006 09:15 PM

shamonさん、こんにちは。

いつもありがとうございます。
明日、藤田嗣治展@京都国立近代美術館に行ってきます!
shamonさんのたくさんの詳しいレビューのおかげで、
一時出不精モードだった私も、最近は「美術館に行こう!」モードになってきました(^-^)。
無事に観られたら、感想書きにきますね。

Posted by: リリー | Jun 06, 2006 06:05 PM

リリーさん、いらっしゃい~。

明日行かれるんですね!
平日だから少しは?空いていると思いますけど頑張ってください。
レビュー、楽しみにしています^^。

Posted by: shamon(リリーサンへ) | Jun 06, 2006 08:29 PM

shamonさん、おはようございます。

回顧展のエントリ、ご紹介下さってありがとうございました。でも、これだけ文字の情報で読ませて頂いたら余計に想像掻き立てられて、行かなかった事を更に強く後悔するようになっちゃいました(苦笑)。

せめて近代美術館で過去の展覧会の図録が買える様だったら手に入れて、その上でshamonさんのレビューと照らし合わせて読み返してみたいなぁと思います^^。

Posted by: yk2 | May 12, 2007 10:40 AM

こんばんは^^。コメント感謝です。

ほんとに素晴らしい展示会でした。
乳白色の美女はやっぱり一見に値します。
図録は美術館に問い合わせてみてはいかがでしょう。手に入るといいですね。

Posted by: shamon(yk2さんへ) | May 12, 2007 08:23 PM

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