「Individual Eleven 攻殻機動隊S.A.C. 2ndGIG」
先日の続きというか仕切りなおしをば(・・)。ネタバレですのでご注意ください。
商品構成は
・本編ディスク
・特典ディスク
・リーフレット
で構成です。ではそれぞれについてレビュ~。
◎本編ディスク
「きれいにまとめてる!」が第一印象。「さっさと出島、とにかく出島」の展開。
シリーズの序盤で感じたもたもた感がなく、スピーディに話が進んでおります。
1st総集編と違い作画監督が中村悟氏なので全体的に絵が艶っぽい印象。
素子のアップシーンなど細かいところで修正がかかってます。
ではストーリーについて
1話のハイライトで始るオープニング。テンポいいです^^。
光学迷彩で夜景に消える素子の後に出るタイトル、劇場版へのオマージュです。
すぐに話は4話のジガバチVSタチコマ&素子へ。
#5~#11に渡っての各エピソードはほとんどカット。
クゼ登場は「総理暗殺未遂事件がありその容疑者」として処理しそのまま電波塔での事件の報道シーンへ。それを受け9課がクゼの身柄確保に動き出すという流れに。
ここまでで目立つのは追加された荒巻と素子の会話。
憔悴しきった茅葺に気遣いを見せる新巻に素子がクレーム(笑)。
「あら、そんな手加減あたしにはしてくれたことないくせに。」
「お前を自分の娘くらいに(云々)」
「うれしくないわ。せめて孫だと思って欲しいわね。」
原作ではコミカル。でもここではどこか色っぽいのは何故(笑)。
その後は#19~26話までをうまく編集。
新人矢野の死がカットされた以外はほとんどシリーズと同じ。
但しバンで出島へ移動中の素子とバトーの会話が少し追加され、カットされた「草迷宮」をきっちり補ってます。
バトーに問われて、言葉少なにクゼとの出会いと別れについて語る素子。
その台詞と幼かった二人の映像に流れるのは”あのギターの曲”。涙がこぼれます。
その後出島へ突入する素子たち。が、ヘリの追撃に遭いバラバラになる。
素子はクゼを見つけるも二人して瓦礫の下に閉じ込められる。
その一方で病院から”スプリング8”へと急ぐイシカワ、政治工作に走る荒巻・トグサ、独自の行動を取るタチコマやバトーたちがドラマを展開。
そして核が迫る中、クゼと素子のシーンへ。
「お前には心を許せる誰かがいるか?」
「いなくはないが・・・」
必死に素子を探すバトーの姿。
「そうか。・・・・俺はずっと探している。」
三者三様の想いが織り成すこのシーン。
探してた人は目の前にいるのに、言葉はすれ違って想いは届かない
クゼの孤独、素子の哀しみ、一途な想い故に素子を探すバトーの姿。
BGMの「i do」も相まってやっぱり涙してしまう。
そして”ぼくらはみんな生きている”の合唱の中散っていくタチコマたち。
ゴーダとの決着、一人逝ってしまうクゼ。
素子へと向けられたクゼの最期の言葉は小さすぎて聞き取れない。
#ここの部分だけヘッドフォンつけて音声MAXでの視聴をオススメします。
数ヵ月後、桜の24時間監視後に部下とは違う方向へ一人走り去る素子。
エンディングテーマは「Christmas in the Silent Forest」。
◎特典ディスク
Individual Eleven StandAloneComplex 2ndGIG Archive
田中敦子さんと神山監督による対談。以下「」は監督のコメント。
・シリーズとの違い
「説明を省いてアクションシーンを見せ場にした。映画的な編集が出来たのでは、と思う。」
・草薙とクゼ、草薙とバトーの関係
「三角関係を強調したかった。そのためバトーには素子から打ち明けられることでに当事者になってもらいました。」
他、最終話のアフレコ秘話と素子のあの台詞に込められた想い、素子とバトーの関係についてお二人の深~い深~い会話(書くのが勿体無いのでパス~)。
ちなみにこのパートのBGMは「i do」と「DEW」、なかなか意味深っす。
・アフレコ現場
台詞練習中の田中さんに若林音響監督から楽しいつっこみ(笑)。
ベテラン阪さんは長ゼリフもさすがにお手の物。
ゴーダの西田健さん、白い帽子がお似合いでとってもダンディ(^^)。
・ゴーダ
「西田さんにはノリノリで演じていただけました。」
「ゴーダは自分そのもの。」
・クゼの苦悩
「アオイは何もしていないことで永遠を手に入れる愛される男として描いた。でもクゼは撤退しない男として描いた。彼が好かれるような演出は最初から放棄してます。」
クゼの人間像について他いろいろ。
・まとめ
「引き算をすることで物語にプラスが生じる。長編の経験はないけれどいい経験だった。」
最後に田中敦子さんから
『素子に出会えて幸せでした。』
タチコマな日々
”彼”が殺された!
被害者の灰色の義体(笑)の傍には凶器らしきレンチが。
タチコマたちの中に犯人がいる!しかしそこへ・・・(笑)。
やっぱりどこか抜けてるタチコマンズです。
◎リーフレット
攻殻S.A.C.2ndGIGが紡いだ時間-『Individual Eleven』を語り尽くそう
特典ディスクからはみ出した監督と田中さんの対談を収録。
総集編での編集の苦労、ゴーダの印象が薄まった理由等。
DVDと合わせて読むとより楽しい。
攻殻世界と現代技術の近しい関係
1st2ndの簡単な説明。
「S.A.C.」が世の中に広く受け入れられたのは時代(ネットの普及、整体生体認証の技術)がこの作品に追いついてきたからではないかという指摘。
同じ視点で昨年秋放送されたNHKスペシャル「サイボーグ技術が人類を変える」、それと関連する立花隆氏のサイトにも触れている。
攻殻世界に存在する「義体」「ゴースト」「電脳」が真剣に議論・研究され始めていることとこれらを16年前に原作で描いた士郎正宗氏への賛辞など。
NHKスペシャルを観た人でないとちょっとついていけない内容かも(観といてよかった^^;)。
雑誌に掲載されたイラスト、宣伝ポスターイラスト等の縮小版
藤咲氏の小説版のイラスト2点。
2ndGIGDVD発売告知ポスター。
2ndGIG地上波放送宣伝ポスター
日経キャラクターズ掲載のイラスト。
他2点。
本編のまとまりもよく特典ディスク・リーフレットの内容も充実。満足かな(^^ヾ。
以上レビューでした^^。
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Comments
ワオ!、毎度のことながら素晴らしいレビューです。これ読むと、買わなくても内容が想像できちゃうかも。(笑
総集編も特典も魅力イッパイですね。
でも一番気になるのは…、タチコマな日々だったりして?!
いえいえ、やはり時代を先取りした原作が一番スゴイですね。ゴーストは脳に宿るのか、はたまた心臓か、興味はつきません。
Posted by: 酎犬八号 | Feb 03, 2006 09:29 PM
こんばんは^^。
>買わなくても内容が想像できちゃうかも。(笑
いえいえ、買ってこそ意味がありますぞ(笑)。
時間の長さを感じさせない上手な編集ですし、
特典を考えるといいお買い物っす~。
>総集編も特典も魅力イッパイですね。
お二人の対談の中身が濃いんですよ~。
ま、この対談で神山監督がいかに男女の機敏に通じてるかよーくわかりました(大笑)。
>タチコマな日々
むふふ(^m^、楽しいですよ~。
そして相変わらずタチコマたちはかわいい^^。
玉川さんもノリノリで1人4役をこなしてます。
オチとしては1st総集編付属の話のほうがおもしろいですけどね(笑)。あ、これレビュー書いてないわ、あたし^^;。
Posted by: shamon | Feb 04, 2006 12:35 AM
shamonさん、おはようございます。
ぼくも 酎犬八号さんと同感!いつもながらの手に取るようにわかる詳細レビュウ、ありがとうございます。
スピーディな展開。もう一本の2nd.GIGになっているのですね。是非、観てみます(近所のレンタルにも入りそうなので(^^))。
>>ま、この対談で神山監督がいかに男女の機敏に通じてるか
>>よーくわかりました(大笑)。
ん、この「(大笑)」が気になりますね。神山監督って、DVDの映像とか観てるとちょっと冷静なタイプに見えるけど、『立ち喰い師列伝』のレビュウを読むと一番の怪演との噂だし、、、。作品のまじめで端正なイメージと「(大笑)」のギャップに悩みます(^^)。これはもうDVDを観ないと、、、。
Posted by: BP | Feb 04, 2006 10:20 AM
こんにちは~、BPさん。
>詳細レビュウ
いえいえ、こちらこそ長文を読んでいただいてありがとうございます。
>この「(大笑)」が気になりますね。
対談の中に
「うっ(^^;。監督、それは言わないで。女の立場から見ると痛いとこ突きすぎ~。」
って発言があるんです(苦笑)。
ともかく女心をよくわかってる人ですね。だから終盤の三角関係も盛り上がったんだと納得できました。
>ギャップに悩みます(^^)。
S.A.C.の制作現場では「メガネ」そのものだったとも聞いてます。いい意味で正体不明の興味の尽きない人物ですね。女性から見るとおしゃれでイケメンなのが更によし(笑)。
Posted by: shamon | Feb 04, 2006 12:08 PM