「サイドウェイ」
公開時に見損ねてようやくDVDにて鑑賞(^^ヾ。
登場するのは作家志望のさえない教師マイルスと落ち目の俳優ジャック。マイルスは自作の小説が出版されるか否か瀬戸際を迎えており、ジャックは結婚を1週間後に控えていた。そして人生の岐路を目の前に二人は1週間のワインツアーに出かける。別れた妻に未練たらたらでワインマニアのマイルスとプレイボーイのジャックが織り成すちぐはぐで滑稽でちょっぴり苦くて痛~い”わき道”物語。
二人の性格の違いがとても面白かった。ワインの好みも女性の好みも全く違う二人は、旅度で出会うさまざまな人や出来事をめぐって衝突する。お互いを罵り喧嘩しながらも結局は助け合う姿が妙に微笑ましくって笑えた。プレイボーイのジャックが引き起こす女がらみのトラブルをぶつぶつ言いながら付き合ってあげるマイルスがいい味を出している。
公開時にも話題になったが舞台になっているのはワインで有名なサンタ・バーバラ。たくさんのワイナリーやワインレストランが登場してワイン好きには楽しい。そしてマイルスが見せるワインへの愛情は興味深いと同時に彼の孤独感を強調する小道具にもなっている。ラスト近く、マイルスは別れた妻の幸せな姿を目の当たりにして打ちのめされる。そしてこともあろうに大切にしていた61年のシュヴァル・ブランをファミレスで紙コップで飲んでしまう。その孤独な姿には小説の出版も断られ、元妻にも”白馬の騎士”になれなかった男の哀愁が漂っていた。
”わき道”旅行からもどってきた二人に待っていたのは平凡な幸せとある人からの連絡。いいことなしのマイルスにもちょっぴり幸せが待っているのでは?と思わせる静かなラストが心に残った。
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