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Oct 07, 2005

ひねもすフランス紀行(その7)-ドメーヌ・シュブロとヴァンダンジュ-

「パニエ、パニエーー、 パニエ、パニエーーー。」
(パニエはフランス語で”籠”の意味)

青空の下、パニエ係の声が風に乗って広い葡萄畑に響き渡る。
コート・ド・ボーヌの南にある美しい村マランジュはヴァンダンジュ<収穫>の最盛期を迎えていた。

maranges

「ヴァンダンジュに行こう。」

立春もまだの今年の1月、夫が言ったこの言葉が全ての始まりだった。
冗談だと思っていたのにいつの間にやら水面下で話は進行、かくして私たちはフランスへ旅立った。その後のことは今までご覧いただいたとおり。

さて現地時間の9/20、ボーヌでの観光の後私たちはローカル線で15分のシャニー駅へ移動。夕暮れの駅で迎えを待つ私たちの前に素敵な女性が車に乗って現れた。

「ようこそいらっしゃいました。」
歓迎の言葉と共に軽やかに車から降り立ったのはシュヴロ・かおりさん。かおりさんはブルゴーニュに三人いると言われる日本人マダムのお一人で、ご主人はマランジュの名門ドメーヌ・シュヴロの三代目パブロ氏。お二人の間にはかわいいアンジェロ・大地君がいる。
実はかおりさんと私たちの間にはある共通の人物がいて、その方のお取計らいとシュヴロ家のご好意により今回のヴァンダンジュ体験訪問(3日間)が実現した。大変ありがたく幸運なことである(お名前を出すことには了解をいただいております)。ではドメーヌの前に掲げられた看板の写真をば。

chevrot

ワイン好きの方なら「クレマン・ド・ブルゴーニュ」というスパークリングワインをご存知だろう。ブルゴーニュではいろんな作り手が競うように作っていて、シュヴロ家もその一つ。シュヴロ家のクレマンはとてもおいしく、ワインの専門雑誌「ワイン王国」で4つ星を獲得した。シャルドネやアリゴテで作られる白、ピノ・ノワールで作られる赤もとてもおいしい。
ドメーヌ・シュヴロのサイトこちら
かおりさんの「ブルゴーニュのフランス流ワイン生活」こちら
是非アクセスをお願いしますm(__)m。シュヴロのワインもお店で見つけたら飲んでくださいね。

さて私たちはかおりさんの案内でまずはドメーヌへ。一通りの説明を受けた後、近くの宿にチェックイン。その夜は他のメンバーと顔合わせの後、翌日の収穫に備えて早く眠った。

収穫の朝は7時40分にドメーヌに集合しバンに乗って葡萄畑に向かう。
ハサミと籠を渡され段取りを教えてもらって、いざヴァンダンジュ作業へ。
「おぉ、これがワイン用の葡萄なのね(わくわく)」などと浮かれていた私だが、その気分は最初の5分で吹き飛んだ。

とにかく重労働。しゃがんで横に移動しながら葡萄を切り取り籠に入れていくのだが、変なにおいのするカビやしおれた実などはその度にハサミで取り除かなくてはならない。そして葡萄を入れる籠(パニエ)はどんどん重く持てなくなっていく。しかし周囲では皆がすごいスピードでどんどん切り取っていく。遅れないようについていくのが精一杯。
それでも女性は摘むだけなのでまだ楽。男性はもっと大変だ。パニエ係(摘み取り作業メンバーへの指示をするリーダー)が背負った大きなじょうご型の入れ物(身長165cmの私でも入れそうな大きさ)に葡萄が一杯入った籠を持ち上げて入れる作業が加わる。そしてパニエ係は冒頭の掛け声でみんなの籠を集めながら、背中の入れ物が一杯になると、収穫用のトラックへ葡萄を運ぶ。次から次へと運び込まれる葡萄で一杯になったトラックはすぐにドメーヌへ戻る。葡萄が傷まないうちに圧搾作業に入るためである。

渡仏前「ヴァンダンジュは大変だよ。」と聞かされていたので、日本を発つ前それなりに体力づくりも覚悟もしてきた。だけど見るとやるとでは大違い。生半可な気持ちでは続かない作業である。ブルゴーニュの生産者は誇り高いとよく言われるが、その理由が少しわかった気がした。機械で収穫を行うところもあるがシュヴロ家では全て手摘みで行う。これも品質第一を貫く生産者の誇りである。

ヴァンダンジュの作業は2時間やって15分ほど休憩、また2時間やって昼休みが1時間半ほど。そして午後も2時間+休憩時間+2時間の作業が続く。その休憩時間の写真がこれ。

breaktime
作業は大変だったけど、楽しいこともたくさんあった。陽気な一部のメンバーが口ずさむ歌が雰囲気を和ませ、葡萄にかぶりついた黄色いカタツムリにどきっとした。そして時折「食べてごらん」と渡される葡萄。「ワイン用の葡萄はおいしくない」と聞いていたが全くそんなことなし。丹精込めて育てられた葡萄はどれもとてもおいしかった。食べておいしくなければ良質のワインなんてできっこない。一度味わうとどんなワインができるのかな、と夢は膨らむ。今振り返っても貴重な体験をさせていただいたと思う。

夕方6時過ぎに作業は終了。皆と一緒にバンに乗ってドメーヌへ戻った。何事もそうだが初日はやっぱり大変。私も夫も緊張と疲れでよれよれだった。「なんとなくわかってきたから明日はもうちょっと要領よくやろう。」と思いながらその夜も早く寝た。

もっともそのやる気が空回りし、二日目の午後私は作業をリタイアしてしまうのだけど。

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Comments

はじめまして。
かおりさんのブログで偶然居合わせました。
ヴェンダンジュは大変だったでしょ!フランスで学生をしていた頃毎年ヴァンダンジュのアルバイトをしていたのでその苦しさと楽しさが良く解って懐かしい。
中休みのカスクルートもホッとしますね。
ボージョレでは当時手持ちのバケツがいっぱいになると「ジャルロー」と叫んでいました。今は背負いのバニエを使っているようなので「バニエ」と叫んでいるかも知れません。
長くなりました、またお邪魔させてもらいます。

Posted by: Petit cervin | Oct 07, 2005 11:35 PM

Petit cervinさん、いらっしゃいませ。TBとコメントありがとうございます。ブログにも時々寄らせていただきますね。

帰国して10日以上経ちましたが、ヴァンダンジュに行って、マランジュに”収穫”されちゃったってのが正直な所です(笑)。
かおりさんをはじめ、シュブロ家の方々は皆素敵な人たちばかりでした。そこで出会った人々も勿論。

ドメーヌ・シュブロにも何人か日本人留学生の方がいらしてました。皆よい方ばかりで、私たちの”ロスト・イン・トランスレーション”(英語もフランス語もおぼつかなかった^^;)の救世主でした。

「ジャルロー」は誰かが使ってた気がします。ちらっちらっと聞いた記憶があるので。それとも単なる聞き間違いか?>自分^^;。

これからお仕事でスイスへ発たれるとのこと。マランジュにも機会があれば行ってくださいね。まるで絵本に出てくるような静かで美しい村です。

Posted by: shamon | Oct 08, 2005 10:02 AM

こんにちは。摘み取りはお客さん相手の会で二度ほど体験しました。食事をご馳走になり、思う存分飲まして貰って、帰って来ました。

仕事となると厳しいでしょうね。ドイツでは大抵はポーランド人です。

手摘みは、銘柄ワインには欠かせないですね。量を絞って質ですから、その場でも剪定しますね。先月書いたのですが、同じところを数回刈入れする醸造所もあります。手が掛かります。

Posted by: pfaelzerwein | Oct 08, 2005 10:24 PM

こんばんは、pfaelzerweinさん。コメントありがとうございます。モーゼルワインの収穫についてもご教示ありがとうございました。

>仕事となると厳しいでしょうね。
たぶん1日にかなりの量をこなすことが求められるでしょう。疲れてくると怪我もするだろうし、急斜面での作業だと足腰にかかる負担も相当なものになる。本当にきつい作業です。

>その場でも剪定しますね。
ええ、つぶれた実やカビなどはかなり神経を使って取りました。実の色が微妙なときは少し実を食べてみて甘ければOK、酸っぱければダメ。でもその中間のときは・・・判断が難しく迷いました。

>手が掛かります。
しかもその間に天候に異常があれば栽培者の努力も水泡に帰してしまう・・・。厳しいですね。


Posted by: shamon | Oct 09, 2005 09:25 PM

はじめまして。
ドメーヌ シュブロのワインいいですよね。私は特に最も廉価なアリゴテがお気に入りです。ところで、ブルゴーニュにいる3人の日本女性のマダムって、かおりさんと千砂さんともう一方はどなたなんでしょうか。千砂さんとはこの夏、ワイン会で一度お会いしたことがあります。かおりさんも12月にパブロさんと一緒に帰国されるとか。ワイン会等に行ければいいなと楽しみにしています。

Posted by: 徒然わいん | Oct 25, 2006 05:37 PM

はじめまして!コメントありがとうございます。
私もシュブロはアリゴテが好きです。飲みやすいですよね~。

>もう一方はどなたなんでしょうか
これ、ある酒屋で聞いたお話でいまだにその方がどなたかさっぱりわからないのです^^;。
新井順子さんはロワールですし・・・。
でも同じ日本人女性が海外で頑張っているのはとってもうれしいです。

Posted by: shamon(徒然わいんさんへ) | Oct 25, 2006 05:57 PM

わぁなかなか素敵なお話しを伺いました。私、ワインは全く詳しくないので、勉強させていただきたいです。海外で頑張っている方のお話を伺うと頭が下がります。

Posted by: 明るい空 | Nov 22, 2006 07:47 AM

こんばんは^^。コメント感謝です。

>海外で頑張っている方のお話を伺うと頭が下がります。
私もです^^;。かおりさんだけでなく他にも留学生の方が何人いらしてて皆さん自分の夢に向かって頑張っていました。
かおりさんは今マダム業をしながらビジネススクールに通われています。来月帰国されるので会ってくる予定です。とっても楽しみ^^。

Posted by: shamon(明るい空さんへ) | Nov 22, 2006 07:05 PM

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