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Oct 01, 2005

ひねもすフランス紀行(その3)-コンシェルジュリーー

「めでたし、聖寵みちみてるマリア」
と彼女の唇から祈りの言葉が洩れた。
「主、汝と共にまします。汝は女のうちに祝せられ・・・・・・・、天主の御母、聖マリア。罪人なる我等のために今も臨終の時も祈りたまえ」

遠藤周作著
「王妃 マリー・アントワネット」下巻 平成4年第25刷 373pより引用

ギロチンへ送られる王妃が「天使祝詞」を乗せられた馬車の中でつぶやく。
遠藤氏が描いたこの小説の最終章はその迫力で読者を引き込んでやまない。

セーヌ川沿いに建つコンシェルジュリーはこの悲劇の王妃が最後の二ヶ月を過ごした牢獄。そして彼女だけでなくここから多くの人間がギロチンへ送られ露と消えた。

concher

パレ大通りより撮影した画像。このすぐ左手の入り口から中に入る。
薄暗い内部には教会を思わせる曲線の天井が広がっていた。
con-inside

まっすぐ歩くとみやげ物コーナーがあり、そこを左にはいっていくとアントワネットがいた牢獄が再現されていた。その隣の部屋には説明用のビデオが流れていた。

room

ろくに日が差さない半地下の部屋。隅にある衝立の裏にはいつも監視の兵士がいたという。光濃ければまた影も濃し、というが、彼女の前半生を考えるとあまりにみすぼらしい最後の部屋だった。

順路通りに歩いて二階へと上がる。革命軍の資料室があった。コンシェルジュリーに投獄後ギロチンに送られた犠牲者の名前が並んだパネルが飾られていた。ルイ16世とアントワネットの名前も仲良く横に並び、すこし離れた場所にマクシミリアン・ロベスピエールの名があった。
王と王妃の裁判・処刑に並行してフランスは恐怖政治へと突き進んだ。革命の立役者ロベスピエールも指導者の座を追われギロチンの露と消えた。戦う相手がいなくなると人は仲間すら疑い分裂してしまうとすれば哀しすぎる。

「水は低きに流れ、人の心もまた低きに流れる。」

「攻殻2ndGIG」クゼの台詞が頭に浮かんだ。

中庭に出て上を見上げると塔の上に掲げられたフランスの国旗が目に入った。
flag
「自由・平等・博愛」を表す三色の旗。血塗られた歴史を見下ろすかのように静かに風に揺れていた。

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Comments

わぁ、スゴイ、スゴイ!!
さすがフランス、どこを見ても絵になる所ばかりですね。
shamonさんのスナップも、構図がバッチリでガイドブックのようですよ。
しかもフランス革命さえも、クゼの台詞と結び付けるとは…、とってもshamonさんらしいです。(笑

Posted by: 酎犬八号 | Oct 01, 2005 01:00 AM

ちわ~、酎犬さん。時差ぼけから復帰。来週からワインスクール。
お金が音速で飛んでいきます~(泣笑)。

>構図がバッチリで
いや、これは私の腕ではなくどこを写しても絵になる建物のおかげです(笑)。
縮小すると画質が低下するのがちと残念が^^;。


>クゼの台詞と結び付けるとは…
いえ帰国して即「ユリイカ」を買って読んでたもんで(爆)。
ロベスピエールも最初は心底国を想う憂国の士だったんでしょうが・・・ね。倒すことよりその後をきちんと考えられなかったのが原因でしょう。つくづく革命とは難しいです。

Posted by: shamon | Oct 01, 2005 01:39 PM

どこを見ても迫力がありますね。歴史の重みをずしりと感じさせる場所で、当時の空気がまだ漂っているような風情です。
いろいろと考えさせられそう。
私も今度パリを訪れた際には、ぜひ行ってみようと思います。

Posted by: lily | Apr 26, 2006 09:03 PM

こんばんは、lilyさん^^。
コメント感謝です。

>いろいろと考えさせられそう。
行くか否か悩んだのですが、やはり観ておきたかったので思い切って行きました。
母テレジアはこんな所で生涯を閉じさせるために彼女を生み育てたわけではなかったでしょうに、ね。運命とは残酷です。

Posted by: shamon | Apr 26, 2006 09:35 PM

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