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Oct 11, 2005

ひねもすフランス紀行(その10)- Au revoir -

asayake

9月24日、朝7時の鐘が村中に時を告げた。私と夫は朝焼けの中、ドメーヌに急いだ。午前中にここを立ちディジョン経由でパリへ向かうため、皆に別れを告げるにはこの朝の時間しかなかったのだ。

「Souvenir?」
パパ・フェルナン(パブロ氏の父上)は私を見るなり左手を取りそう言って笑った。左手小指の傷をからかっているのだ。「Yes!」とつられて私も笑った。
ひとしきり笑った後、彼は右手を差し出した。

「Au revoir」
「・・・・・・・Au revoir」

下手っぴな発音で私もその言葉を返した。パパ・フェルナンの手は大きく暖かかった。

Au revoir、 「いつかまた」をこめたフランス語の「さよなら」。
中学のとき初めて知ったこのフランス語を彼の地で口にするとは思わなかった。

「ホントに今日で最後なの?ニッポンに帰るの?」
そう何度も英語で夫に問いかけていたのは一緒に収穫作業をしていたトルコ人の方。欧米人に比べ明らかに体格が劣る夫をお仲間の方たちと何度も助けてくださった。最後は抱き合って別れを惜しんでいた。忙しい朝の時間だったため、全員には逢えなかったけど出来る限りそこにいた人に挨拶をした。そして畑に行く車に乗り込む皆に手を振って、私たちは最後の旅支度をするために宿へ戻る道を歩き始めた。

歩いている私たちの傍を皆が乗った車が追い越していく。
次々に鳴る別れのクラクション、二人して大きく手を振って応えた。
遠ざかっていく車の列が涙でにじんた。

シャニー駅までは来たときと同じようにかおりさんが送ってくださった。今考えても私たち夫婦はシュヴロ家の方々やドメーヌで出会った人たちにはお世話になってばかりだった。いつかきっと何かの形でお返しできたらと思う。

そして

たくさんの想い出を抱え、たくさんのAu revoirを残して、
私たちはマランジュを去った。

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